熟成革新
エイジングブースター研究会
エイジングブースター研究会

香川県高松市のイタリアン「Knocking kitchen」にイタリアンの小川翼氏、フランス料理の萩春朋氏、そして日本料理の西野正巳氏が集まり、エイジングブースターの可能性を様々な食材で追求する「エイジングブースター研究会」を実施した。大豆やスプマンテ、はちみつにとんかつといった食材が、エイジングブースターで熟成をかけることで大きくその特性を変えてしまうことが、改めて確認された。(前編はこちら)。

後編はいよいよ、今回のメインテーマとも言える日本料理の食材編だ。西野氏が持参してくれた和の食材がエイジングブースターでどう変わるのか、乞うご期待!

(司会:山本謙治 / 撮影:山本謙治、岩泉雄士)

日本料理の食材にエイジングブースト。
天ぷら、納豆の味変化に驚いた!
山本:さて、前半戦では小川シェフ、萩シェフからの提案食材を熟成促進させ、いずれの食材も分解が進んだまろやかな味わいになることが確認できました。ただ、ここまではこれまでの経験上、いわば想定内です。
これが和の食材だとどうなるか、いよいよ西野さんからの提案食材を実験してみましょう。
西野:そう言われると緊張しますね(笑)面白い結果が出るといいのですが。ただ、和食の世界でもエイジングブースターの可能性が大きいことは間違いありません。
山本:やはり和食界からもこの装置への期待は大きいですか?
西野:日本料理では熟成促進のために発酵の技法を多用しますが、発酵だと風味に角が出てしまうので、それを後から薄めることが普通です。
しかし、それではせっかくの旨味まで薄まってしまう。
そこで、このエイジングブースターを使って食材の旨味をそのままに熟成が促進できれば、可能性はかなり大きいです。
西野正巳氏
山本:なるほど、いま世界中の料理界で発酵がブームですが、発酵で生まれる味わいの角をどうとるかというのは、とても高度な話です。今日の実験がますます楽しみですね。
では、西野さん、本日の食材を教えてください。
西野:はい。まず、地元の茨城県で上がったスズキを持ってきました。やはり和食とエイジングブースターの相性を考える上で、魚を使った検証は欠かせませんので。
そして、これも和食ならではの食材で、大粒納豆、ポン酢、日本酒で検証をしてみようと思います。
山本:どの食材も結果が非常に楽しみです。では、まず調理が必要なスズキから試してみましょうか。
みなさん、一度厨房の方へ。
スズキ
西野:こちらが本日のスズキです。ただ、これは熟成に長時間かかるので店にある装置で既に熟成促進を完了させてきました。
庫内設定は1℃・10℃、風量は20%から50%で6時間です。
山本:これを今日は刺身で試すということでしょうか?
西野:刺身と、火を入れた状態ということで天ぷらにもしてみたいと思います。
では、小川シェフに包丁をお借りして早速切ってみますね。切っている感じは、脂の部分が見た目からして違いますね。
スズキの刺身
山本:やはりそうですか。萩シェフのとんかつと同じだ。
スズキの刺身
西野:ではみなさん、まずは刺身から試食してみてください。
スズキの刺身
左:エイジングあり  右:なし
小川:あ、全然違う。
山本:うん、笑っちゃうくらい違いが明らかですね。
萩 :旨味の出方が違いますよね。熟成促進していない方は身が引き締まり過ぎている感じがする。
西野:違いが出てよかった!さあ、天ぷらも揚がりましたので、こちらもどうぞ。天ぷらは衣の付き具合も違うんですよね。
スズキの天ぷら
スズキの天ぷら
スズキの天ぷら
左:エイジングあり  右:なし
小川:天ぷらは刺身に比べて旨味の出方が分かりやすくなっていますね。
スズキの天ぷら
山本:西野さん、ご自身で試食されてみていかがですか?
西野:刺身は熟成促進することで深いコクがでて、味の余韻も伸びていますね。これに下味をつければ、もっと可能性が広がると思います。
一方、天ぷらは水分が抜けた分、旨味が早くガツンと伝わってきます。刺身と天ぷら、どちらも予想より良い結果です。
スズキの天ぷら
山本:魚の水分が抜けるということで、この装置と魚の相性は良いということですね。今回はスズキでしたが、他に可能性がありそうな魚は何がありますか?
西野:以前、店でアンコウに使ったところ非常に良かったです。アンコウは水分が多いので鮮度が良くても刺身に使えないという難点があります。
そこで、この装置を使って水分を飛ばせば、これまで捨てられていた身の部分も美味しく料理できる。これは昨今のSDGsの観点からしても好ましいことですよね。
萩 :そういえば、私の地元・福島でも和食の料理人がアンコウは水分が多くて唐揚げにできないと悩んでいました。熟成促進させればアンコウの唐揚げも出来ますか?
西野:できるでしょうね。魚に関してはエイジングブースターで料理の幅が一気に広がる可能性があるわけですよ。
スズキの天ぷら
山本:いやあ、熟成促進させたアンコウ、ぜひ食べてみたいものです。
そうこうしている間に、大粒納豆が装置から出てきました。なお、庫内設定は0℃・25℃、風量60%で20分ですね。こちらも頂いてみましょう。
大粒納豆
西野さんが茨城県から持参してくれた大粒納豆。
スズキの天ぷら
左:エイジングあり  右:なし
西野:見た目にはあまり変化ありませんが、糸の引き方は違いますね。
萩 :味わいはやはり熟成促進させた方がまろやか。クリーミーです。
小川:大豆の風味が際立っているような感じもしますね。ただ、装置にかけた方が、粒立ちが良いような。
山本:本当だ。普通、分解が進むから逆だと思ってたけど、確かに装置に入れた方が粒感の立ちがよいですね!
西野:これは予想外ですね。もう少し時間をかけて熟成を促進させると、より変化が分かりやすくなるかもしれません。
小川翼氏
山本:たんぱく質と油脂を含む大豆を原料にしたものが納豆ですから、エイジングブースターにかけることによって柔らかくなると考えられるのに、粒感が立っているように感じるとは、、、ついに想定外の結果が出てきましたね。
さて、続くポン酢と日本酒はどうなるか、検証を進めましょう!
調味料の味わいも熟成促進で大きく変わる。
エイジングブーストしたポン酢の驚きの結果に、一同騒然!
山本:西野さん、続いてはポン酢ですね。
ポン酢
西野:はい。当店自家製のポン酢を0℃・15℃、風量60%で30分、装置にかけました。
ポン酢
真ん中がポン酢
小川:ん?熟成促進させた方が、味が濃くなっている…
萩 :確かに、柑橘味も装置にかけた方が濃いですね。
萩春朋氏
山本:これって、逆になってないですよね?
おかしいな、エイジングブースターにかけた方が味がクッキリハッキリしているし、柑橘の酸味もフレッシュな尖りを感じます。でもこれ、逆になるはずじゃない?熟成が進んだ方の味が濃いなんてことあるの!?
西野:これ、熟成促進させたポン酢は作りたての時のような味になっていますね。
山本:タイムマシン現象だ!熟成することによって、逆に元の味に戻ったってこと!?
小川:これは新しい変化ですね。でも、個人的には熟成促進させた方が美味しいように感じます。
西野:そうですね。ただ、ポン酢は寝かして使いたい場面も多いので、その意味では装置にかけない方が良いかもしれません。
いずれにせよ、熟成促進させた方が個性的な味になるというのは意外だな。ポン酢がここまで変わるなら、出汁でも試してみたいところです。
小川:あ、今ちょうど、硬水と昆布ならありますよ!
硬水と昆布
西野:お、じゃあやってみましょうか。水出しの状態で。普通は一晩置いておくところですが、今回は時間もないので庫内温度をMAXにしてやってみましょう。
日本酒も一緒に装置にかけてみます。
硬水と昆布
山本:さて、昆布出汁は、0℃・25℃の庫内設定で30分間、日本酒は、0℃・4℃の庫内設定で15日間の熟成促進が完了しました。まずは昆布出汁から飲んでみましょうか。
硬水と昆布
西野:うん、明らかに変化していますね。なんと言うか、昆布の旨味の出方が「きれい」ですね。軽い、と言えなくもないけど、「きれい」の方が適切な気がするな。
小川:確かに、本当にきれいな味がしますね。
萩 :装置にかけていない方は少し濁ったような感じだけど、熟成促進の方はそれがなくてスッと旨味を感じます。
西野正巳氏
小川氏と西野氏
山本:まったく同感です。熟成促進していない方は旨味を感じるまでに一段階あるような感じがするけれど、装置に入れた方は速やかに味蕾で旨味を感じます。
萩 :あと、硬水自体の口当たりも変化しているように感じますね。水質にも何か影響があるのかな。
山本:そうかもしれませんねえ。液体の変化ということであれば、皆さん、日本酒の変化はいかがでしょうか?
ちなみにここ香川県のお酒ということで、「金陵」の純米生酒をエイジングブースターにかけたものと、かけていないもので飲み比べをします。
純米生酒
左:エイジングあり  右:なし
小川:これも先ほどのポン酢と同じく、熟成促進させた方が個性のあるしっかりとした味になっていませんか?
西野:そうですね。香りがしっかりしているし、酸も強くなっている。
萩 :全く別物みたいですね。同じ蔵の違うお酒と言われて出されても、まったく違和感ないです。
山本:いやあ、これも不思議!酸味を含め、全ての個性が際立っていて、装置にかけることでこなれた味になったワインとは違う結果ですね。
萩春朋氏
西野:ただ、これはこれで悪くなったとは思わないけど、和食には合わせづらいですかね。
でも、萩シェフが作るようなしっかりとした料理にはこちらの方が良いかもしれません。
山本:なるほど。いや、それにしても納豆、ポン酢、昆布出汁、日本酒と、西野さんご提案の和の食材は、分解が進むのか味わいがまろやかになっていくという洋物食材でのセオリーに当てはまらない意外な結果となりましたね。
小川:こうなってくると、「熟成促進させるとこうなる」という方程式を作るのはなかなか難しいな…(笑)
小川翼氏
西野:しかも、ポン酢や日本酒のように大きな変化があると、それぞれに合う料理も考えていかなくてはいけないですね。
山本:まだまだエイジングブースターは奥が深いですねえ。今後も様々な食材で実験を進めていきましょう!西野さん、萩シェフ、そして場所を提供してくださった小川シェフ、本日はどうもありがとうございました!
三人のシェフとKnocking kitchenのスタッフのみなさん
三人のシェフと、会場となったKnocking kitchenのスタッフのみなさん。
長時間に渡る座談会にお付き合いいただき、どうもありがとうございました!
三人のシェフとKnocking kitchenのスタッフのみなさん
三人のシェフと、会場となったKnocking kitchenのスタッフのみなさん。
長時間に渡る座談会にお付き合いいただき、どうもありがとうございました!
座談会を終えて
エイジングブースター研究会の座談会の前・後編はいかがでしたか。この座談会、開始から軽く5時間ほどかかってしまいました。その間、シェフ達は手を動かし、料理をしながら「うーん、これはどういう理屈だろう、、、」「えっなんでこうなるの?」と、目をキラキラさせながらエイジングブースターの効果を様々な食材で試していました。
それにしても、エイジングブースターの遣い手であるお三方が持ち寄った食材の変化には驚きの一言でした。たんぱく質や油脂の分解促進、液体の口当たりの変化などはこれまでも認められてきましたが、納豆の粒状感が強く感じられたり、ポン酢が作りたてのような味わいになったり、、、エイジングブースターにはまだまだ、私たちの想像を超える使い方があるのかもしれません。
そんなエイジングブースターで「こんなの試してみました!」という気鋭の料理人さんを、これからも追いかけていきます。乞うご期待!

四国計測工業株式会社
〒764-8502 香川県仲多度郡多度津町南鴨200番地1
経営戦略本部 マーケティング開発部
TEL:050-8802-2205

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